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実務者研修の費用は自己負担0円にできる?ハローワークの給付と返還免除の貸付

公開日:

お金の話を先に

  • 実務者研修の費用は、条件が合えば都道府県の受講資金貸付(20万円以内)で立て替えられ、介護福祉士になって2年働けば返さなくてよい(静岡県の場合)
  • ハローワークの教育訓練給付は講座しだいで2割か4〜5割。申し込む前に講座の指定の種類を見る
  • 研修だけで給料はあまり変わらない。差がつくのは介護福祉士を取ってから(月22,790円)

実務者研修の費用は、使う制度しだいで自己負担0円まで下げられます。いちばん大きいのは都道府県の「実務者研修受講資金貸付」で、20万円以内を借り、介護福祉士を取って県内で2年働けば返さなくてよい、というしくみです(静岡県の場合)。

ハローワークの教育訓練給付なら、受講料の2割、講座によっては4〜5割が戻ります。ただ、どちらにも申し込みの順番があります。順番をまちがえると、もらえるはずのお金がゼロになる。下では制度ごとの条件と、受講料15万円のときの計算例をまとめました。

実務者研修の期間と、費用が人によって違う理由

実務者研修は、介護福祉士の国家試験を「実務経験ルート」で受けるために必要な研修です。厚生労働省の資料では、養成施設の基準として研修時間数は450時間以上、法律の改正のときの説明では「6か月以上の実務者研修」とされています。

最後の点が、費用が人によって違う理由です。持っている資格で受ける科目が減れば、受講料が変わることもあります。何時間・いくらになるかは、申し込む学校にいまの修了証を見せて聞くのが早いです。働きながら通う人は、通信課程を選ぶのが現実的だと私たちは考えます。

ハル

「450時間」と聞くと身構えますが、大半は自宅でのレポートです。通学は最低45時間と医療的ケアの演習。ここを先に知っておくと、シフトの相談がしやすくなります。

費用を下げる制度は5つ:早見表

制度 戻る・借りられる額 主な条件 窓口
一般教育訓練給付 受講料の20%(上限10万円) 雇用保険の加入3年以上(初めてなら1年以上) ハローワーク
特定一般教育訓練給付 40%(上限20万円)、条件を満たすと50%(上限25万円) 上と同じ+受講前の手続き ハローワーク
実務者研修受講資金貸付 20万円以内を貸付。条件を満たすと返還免除 都道府県ごとに違う。学校の推薦が要る県も 都道府県の社会福祉協議会など
ひとり親家庭の自立支援教育訓練給付金 受講料の60%(上限20万円) 受講前の事前相談が必須 市区町村
ハロートレーニング(公的職業訓練) 受講料無料(テキスト代は自己負担) 仕事を探している人 ハローワーク

このほか、勤め先が受講料を出す職場もあります。給与規程や求人票の「資格取得支援」の欄で確かめられます。

受講料15万円の実務者研修で制度ごとの自己負担を比べた横棒グラフ。制度なし150,000円、一般教育訓練120,000円、特定一般教育訓練90,000円、追加給付ありで75,000円、ひとり親の給付金60,000円、修学資金の貸付で返還免除なら0円
受講料15万円と仮に置いた計算例。どれを使えるかは講座と本人の条件で決まる

ハローワークの教育訓練給付:2割か、4〜5割か

「実務者研修 費用 ハローワーク」と検索する人が知りたいのは、たぶんこの制度です。雇用保険に入っている人(やめてから1年以内の人も含む)が、厚生労働大臣が指定した講座を修了すると、払った受講料の一部がハローワークから戻ります。

給付の種類 給付率と上限 受講料15万円なら
一般教育訓練 20%(上限10万円) 3万円戻る→自己負担12万円
特定一般教育訓練 40%(上限20万円) 6万円戻る→自己負担9万円
特定一般(追加給付あり) 50%(上限25万円) 7.5万円戻る→自己負担7.5万円

ここで見落としやすいのは、同じ実務者研修でも、講座によって指定の種類が違うことです。厚生労働省は講座を運営する側に向けて「介護福祉士実務者養成研修は特定一般教育訓練の対象になり得る」と案内しています。裏を返すと、指定を受けていない講座や、一般教育訓練(20%)の指定の講座もある。学校を比べるときは、受講料の安さと一緒に「給付の種類」を見てください。講座ごとの指定は、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で調べられます。

条件と手続きの要点です。

ハル

特定一般は「受講開始の2週間前まで」の手続きが必要です。学校に申し込んでからハローワークに行くと間に合わないことがある。順番はハローワークが先です。

都道府県の受講資金貸付:条件を満たせば返さなくてよい

自己負担を0円に近づけられるのが、この貸付です。各都道府県が、社会福祉協議会などを窓口にして行っています。

静岡県の場合は次のとおりです(2023年2月更新の県のページより)。

福島県も20万円以内で、受講料・教材費・参考図書・国家試験の受験手数料などが対象です。こちらは申請に実務者研修施設の推薦が要ります。

あくまで「貸付」なので、条件を満たせなければ返します。県外への転職や、合格までに時間がかかりそうな人は、免除の条件を先に読んでおくと安心です。名前は県によって「介護福祉士修学資金」の一部として案内されていることもあります。

ひとり親なら6割、仕事を探しているなら無料の訓練も

ひとり親家庭の自立支援教育訓練給付金は、市区町村の制度です。東京都板橋区の場合、教育訓練給付の指定講座なら受講料の60%(上限20万円)。雇用保険の給付を受けられる人は、その分を引いた額が出ます。受講を始める前の事前相談が必須なので、学校に申し込む前に役所の窓口へ行ってください。

いま仕事を探している人は、ハロートレーニング(公的職業訓練)も候補です。受講料は無料で、テキスト代は自己負担。雇用保険を受けられない人向けの求職者支援訓練では、本人収入が月8万円以下などの条件を満たすと、月10万円の職業訓練受講手当も出ます。介護の訓練コースがあるか、実務者研修の科目が入るかは地域で違うので、ハローワークで聞くのが確実です。

職場に出してもらう:資格取得支援のある職場を選ぶ

勤め先が受講料を負担する職場もあります。いまの職場に制度があるかは、給与規程か上司に聞けば分かります。

制度が無い職場で自腹を切るより、支援のある職場に移ってから受けるほうが安く済むこともある。転職サービスのかいご畑には、働きながら介護の資格を0円で取れる「キャリアアップ応援制度」があります。対象の資格と条件は公式サイトで確かめてください。

ほかの転職サービスとの違いは介護の転職サービスの比較にまとめています。

研修の費用は何か月で元が取れる?

ここは正直に書きます。実務者研修を修了しただけでは、給料はほとんど変わりません。厚生労働省の調査では、平均給与額(月給・常勤、令和6年9月時点)はこうです。

資格 平均給与額(月) 1つ下との差
介護福祉士 350,050円 +22,790円
実務者研修 327,260円 +2,430円
介護職員初任者研修 324,830円 +34,210円
資格なし 290,620円 ―

初任者研修から実務者研修への差は月2,430円。大きく上がるのは介護福祉士を取ってからで、実務者研修との差は月22,790円です。だから私たちは、実務者研修の費用を「介護福祉士への入場料」と考えています。

一般教育訓練(20%)を使って自己負担12万円なら、介護福祉士になったあと約5〜6か月分の差額で取り返せる計算です。ただし、この差には勤続年数の長さも混ざっていて、資格手当の額は職場で違います。自分の場合の差額は資格別の給料差額の計算で、取ったあとの手取りは手取り計算で出せます。資格ごとの差のくわしい読み方は介護福祉士の給料と資格なしとの差に書きました。

実務の日数から、受験できる回を判定する

申し込む順番

  1. ハローワークで、教育訓練給付の受給資格(加入期間)を確かめる
  2. 住んでいる都道府県の受講資金貸付と、市区町村の制度(ひとり親など)を調べる
  3. 学校を比べる:受講料、給付の種類(一般か特定一般か)、通学日数、持っている資格での免除
  4. 特定一般なら訓練前キャリアコンサルティング→受講開始2週間前までに手続き
  5. 学校に申し込む

第39回介護福祉士国家試験(筆記は2027年1月31日)の申し込みは2026年9月2日で締め切られています。これから研修を始める人は、その次の回以降を目標に、受験資格の日数と研修の修了時期を合わせて計画してください。

まとめ

いまの資格・職場・勤続年数での給料の目安は、給料シミュレーターで出してみてください。2026年度の賃上げで職場がいくら上がるかは介護の処遇改善2026にあります。

出典(2026年10月13日に確認): - ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」 - 厚生労働省「特定一般教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」 - 厚生労働省「その講座、特定一般教育訓練給付金の対象になりませんか?」(医療・介護・障害福祉分野の講座運営者向け) - 厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直し・実務者研修について」 - 社会福祉振興・試験センター「実務者研修」 - 静岡県「実務者研修受講資金貸付制度」 - 福島県「修学資金等の貸付」の案内 - 板橋区「ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金」 - 厚生労働省「求職者支援制度」 - 厚生労働省「ハロートレーニングについて知る」 - 厚生労働省「第39回介護福祉士国家試験の施行」 - 厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査結果の概要」(資格別の平均給与、令和6年9月時点)